流派のご案内
小原流おはらりゅう
小原流は19世紀末、小原雲心(おはらうんしん) が「盛花(もりばな)」という新形式のいけばなを創始して、近代いけばなの道を開いたことに始まります。
「盛花」は、口の広い器(水盤)に材料を「盛る」ように花を展開させるもので、それまでのいけばなの、いわば線の動きを主にした構成にくらべ、面的な広がりを強調したところに特徴があります。今ではおなじみの水盤と剣山を使ういけばなは、小原流が始めたものです。
創流してから1世紀、その時代の生活様式の変化にともなって盛花を基本に、現代空間にふさわしいいけばなを生み出してきたのが小原流です。組織としては、財団法人として、全国158支部、海外57支部において、いけばなの普及事業をすすめています。
いけばなの技術は、段階を追って無理なく会得できるようなカリキュラムが制定されており、どこの教室においても同じ内容で習える合理的なシステムとなっています。
草月流そうげつりゅう
初代家元・勅使河原蒼風が形式主体のいけばなに疑問を持ち、「個性」を尊重した自由な表現を求めたことから草月のいけばなは始まりました。
草月のいけばなは「型」にとらわれることなく、常に新しく、自由にその人の個性を映し出します。いけ手の自由な思いを花に託して、自分らしく、のびやかに花をいけていきます。また、時代と共に変化してきた草月のいけばなは、それぞれのご家庭で楽しむことはもちろん、ウインドーディスプレーや舞台美術など、社会のあらゆる空間に植物表現の美と安らぎをもたらしています。
「いつでも、どこでも、だれにでも」。草月の花は家庭内の床の間や食卓の花から、ホテルのロビー、パーティー会場、また店舗のウインドーや大規模な公共空間など、現代のあらゆる空間に対応し、彩り豊かに演出します。
未生流みしょうりゅう
未生流は、未生齋一甫(通称山村山碩)よって創流されました。一甫は関東の幕臣の家に生まれたといわれ、若年から風流を愛して華道を志、諸流の奥旨を渉猟しました。三十歳のころに江戸を離れ、諸国を行脚した末、九州の地におもむき、長年研究した華道理論を七巻の伝書にまとめて、未生流をとなえました。
未生流では古典花を格花と呼び、天円地方の合体した直角二等辺三角形に天・地・人の三つの枝を配して自然と人間の調和した、秩序をもった草木のあるべき姿によって和の美を表わします。立った三角形に枝を配する縦姿と、横の三角形に構成する横姿があり、またその組合せで均衡のおもしろさや、特定の景観、景趣を見せることができます。基準になる花形は、三才格で、天・地・人の三才の格法で構成され、天は体(たい)、人は用(よう)、地は留(とめ)の名で呼ばれます。三才格に相生(あいおい)、控(ひかえ)を加えて五行格に発展します。
また、未生流の新花は、盛花と瓶花に分かれています。盛花は、口幅が高さよりも長い水盤やコンポート・籠類にいけたもので、花材の性質を大切にし、その特色と個性を発揮し自然の状態を写す個性盛花と、花材の質を強調し色彩をそのポイントとし、ときには図様化されることもある色彩盛花に分かれます。瓶花は、幅より高さの長い花瓶・筒・籠などにいれたもので、花材の持味をいかし、自然の風趣をだし、花材を自由な角度でとめるためにさまざまな工夫がなされる個性瓶花と、花材のもつ情緒や風情をいかすのではなく、花材そのものの色や、質感に注目し、樹木の花の色、葉の色、実の色の美しさを表現する色彩瓶花に分かれます。また新花には、盛花・瓶花の基本形を越えて発展させ自然手法・造形手法・小品花に分けられた自由形があります。